生体医工学科では,2年生の秋学期(後期)に生体医工学実験Ⅰ,3年生の春学期(前期)に生体医工学実験Ⅱ・プロジェクトⅤという必修の学生実験があります.また,選択ですが生物学実験・化学実験・物理学実験・地学実験を履修することもできます.

生体医工学実験Ⅰのテーマ(2019年度)

  • 力と変形(材料力学+機械力学+流体力学)
  • 電気回路とセンサの基本,マイコンを用いたもの作り入門
  • 心臓のポンプ機能の評価(心電図と心音),呼吸機能とその測定
  • がん細胞の無菌培養と抗がん剤の効果判定
  • 生体信号の測定(血圧,呼気ガス測定)と分析(圧受容器反射,基礎代謝量)
  • 生体信号処理入門

生体医工学実験Ⅱ・プロジェクトⅤのテーマ(2020年度当初テーマ)

  • 無意識を鍛える
  • バイオ科学とナノテクノロジーの融合
  • 脳活動を測る
  • ヒトの血液循環システム~高血圧症はなぜ起こるのか?~
  • 放射線計測
  • 光電脈波計の作成と脈波信号計測
  • ソフトコンタクトレンズ材料(医用高分子ゲル)の合成
  • 血液(血液細胞と血清蛋白質)の解析
  • 循環システムの計測
  • 車椅子・高齢者疑似体験,鉗子操作
  • ストレスと循環機能の応答

実験の例

ヒトの血液循環システム(プロジェクトV,担当:堀内)

ヒトの心臓血管系の仕組みを学習し,心臓型ポンプと様々なタイプのシリコンチューブやシリンジを使用してヒトの血液循環モデルを作成し,血圧の形成メカニズムを体験します。また,このモデルに様々な仕掛けを組み込むことで高血圧症を再現し,そのことから高血圧症の治療法を考えてみます。このモデルから得られた治療法と実際に行われている治療やお薬の効果を比較することで,私たちの体の血圧調節の仕組みをより深く理解することを目指します。

放射線計測(プロジェクトV,担当:本橋)

「霧箱」は最も単純な構造を持つ放射線検出器の一つです。
学生一人一人が霧箱を手作りし,空気中にわずかに含まれるラドン原子から放出されるアルファ線を観察します。
身の回りに常に存在していながら目には見えない放射線を可視化することにより,その存在を実感することができます。
簡単な実験ながら,放射能,飛程,運動エネルギーといった核医学における基礎物理量を定量的に学ぶことができます。

プロジェクトⅤ(放射線計測) 実験風景
プロジェクトⅤ(放射線計測) 霧箱

 

鉗子操作(生体医工学実験Ⅱ,担当:山内)

内視鏡手術で実際に用いられている鉗子(かんし)を用い,把持・移動・切開の各タスクをを体験します.
実施するタスクは「ペグトランスファータスク」および「高精度カットタスク」であり,どちらも,米国消化器内視鏡外科学会(SAGES)の定める内視鏡手術基礎技術標準(FLS)に準拠しています.
タスクを複数回実行し,所要時間を計測して,人間工学で言う「ラーニングカーブ」を確認します.
また,近代の外科手術が高度な技能を要求することを理解し,工学的観点から課題を抽出します.

生体医工学実験Ⅱ(鉗子操作) 実験風景(※2019年度)
生体医工学実験Ⅱ(鉗子操作) 実験装置